大会趣意書「17名古屋大会へようこそ」
                大会実行委員長 村上 心(椙山女学園大学教授)

 日本マンション学会が、1992年設立以来の研究対象としている分譲マンションは、我が国の巨大な住宅ストックとなり、その数を増やし続けています。第二次世界大戦後のマスハウジング期に、都市部に対して大量供給が始まった集合住宅は、築後年数の経過と共に、維持管理システムの整備や初期工事の瑕疵への対応、大規模修繕や建て替えの仕組みや法整備、住民の高齢化やペット・騒音・管理費の未払いに対する取り組みなどの課題を抱えて来ました。現在、それらの課題が質量ともに増大すると同時に、都市の中でのマンション居住の位置づけや環境対策との協調、人口減少への対処などの新たな課題が生じています。これらの課題は、欧・米・アジアなどの世界各国においても大きな共通の問題となっており、諸国でも、課題に対する様々な興味深い研究や取り組みが行われています。本学会が、そのような国々において共通の課題に取り組む方々との交流の場としても機能する日がいずれ来ることを期待しています。
 2017年の日本マンション学会第26回全国大会は、居住者・実務家・研究者・行政担当者・企業などによる、上述した我が国の諸課題に対する取り組みの情報交換の場として、4月22日(土)・23日(日)の2日間、名古屋の星ヶ丘に立地する椙山女学園大学で開催されます。
 22日(土)午後のメインシンポジウムでは、「マンションという場において、認知症、孤独死、独居などの住民の高齢化にって顕在化している諸問題に対してどう対応していくのか」、というテーマでの講演とディスカッションを行う予定です。分科会では、例年と同様に、マンションに関わる様々な視点からの報告・討議が行われます。23日(日)の午後には、名古屋で住みたい街第1位を、毎年、星ヶ丘地区、名古屋駅周辺地区と争っている、名古屋市千種区の覚王山地区の築40年以上のマンション群と、松坂屋初代社長の伊藤次郎左衛門祐民の別荘である揚輝荘および敷地内に近年建てられたマンション群の見学会を企画しております。地方中核都市の歴史的資産を有する地区における居住形態としてのマンションの位置づけを、地区を散策しながら共に考える機会となれば、と思っております。
 中部支部会員一同、名古屋の地で開催させていただく意義を考え、中部圏の特色を存分に感じていただきながら、大会期間中を心地よくお過ごしいただけるよう、精一杯準備させていただき、皆さまの御来場をお待ちしております。最後になりましたが、本大会が、御参加される皆様、日本マンション学会、マンションに関わっておられる方々の、益々の御発展に資することを心より祈念いたします。